社内研修や教育コンテンツをオンライン化したいと思ったとき、まず悩むのが「eラーニングってどうやって作るの?」という疑問ではないでしょうか。外注すれば費用がかさみ、自分で作るとなると何から手をつければいいのか分からないという方も多いはずです。そんな方に向けて、この記事ではeラーニングの作り方を基礎から丁寧に解説していきます。
専門知識がなくても使えるeラーニング作成ツールの選び方や、コンテンツを作る際に押さえておきたいポイントもまとめているので、初めてeラーニング教材を作る方にも役立つ内容です。

eラーニングとは?基本を押さえましょう
eラーニングとは、インターネットやパソコンなどのデジタルデバイスを使って学習するしくみのことです。企業研修、社内教育、資格取得の勉強など幅広い場面で活用されています。
従来の集合研修と比べて、場所や時間を問わず受講できるのが特徴です。受講者は自分のペースで繰り返し学べるため、理解度のばらつきを減らすことにもつながります。
企業がeラーニングを導入するメリットとしては、研修コストの削減、教育内容の均一化、受講状況の管理がしやすいことなどが挙げられます。
eラーニング教材の主な種類
eラーニング教材にはいくつかの形式があり、目的に応じて使い分けることが大切です。
スライド型
PowerPointなどで作成したスライドをベースに、ナレーションやアニメーションを付けるタイプです。既存の研修資料を活用できるため、導入のハードルが低いのが魅力です。
ただ、社内資料をそのまま教材にすると「文字が多すぎて読む気にならない」と言われがちです。スライドの構成や見せ方を扱った資料作成の本を1冊押さえておくと、教材づくりの土台になります。
動画型
講師が解説する様子を撮影したり、画面録画で操作手順を見せたりする形式です。視覚的にわかりやすく、特に実技やソフトウェア操作の研修に向いています。
クイズ・テスト型
選択肢問題や穴埋め問題などで理解度を確認するタイプです。学習後の確認テストとして組み込むことで、知識の定着を促す効果があります。
シミュレーション型
実際の業務を想定したシナリオに沿って進む形式で、接客対応やセキュリティ対策の研修などに使われます。双方向性があるため受講者の没入感が高まります。

eラーニングの作り方|5つのステップ
eラーニング教材を作る流れを、5つのステップに分けて紹介します。
ステップ1:学習目標を明確にする
「この教材を受講した人に何ができるようになってほしいのか」をはっきりさせることが最初の一歩です。目標があいまいなまま作り始めると、情報が散漫になり受講者の理解も浅くなりがちです。
たとえば「コンプライアンスの基本を理解する」ではなく、「ハラスメントの定義と相談窓口の利用方法を説明できる」のように具体的にしましょう。
ステップ2:構成を設計する
目標が決まったら、教材全体の流れを設計します。章立てや各パートの時間配分を決め、受講者が無理なく学べるボリュームに調整することが大切です。
1つのセクションは5〜10分程度が目安です。長すぎると集中力が続かないため、短い単位で区切って達成感を持たせる工夫が効果的です。
ステップ3:素材を準備する
台本(ナレーション原稿)、スライドや画像、必要に応じて動画を用意します。既存の研修資料があれば、それをベースに修正・追加していくのが効率的です。
このとき見落としがちなのが音声の品質です。内容が良くても、ノートPC内蔵マイクで録ったナレーションは反響やノイズが入りやすく、受講者が聞き疲れする原因になります。USB接続のマイクを1本用意しておくと、収録のやり直しを減らしやすくなります。
ステップ4:作成ツールで教材にまとめる
準備した素材をeラーニング作成ツールに取り込み、スライド・音声・クイズなどを組み合わせて教材を仕上げます。ツールの選び方は後述しますが、PowerPointベースのツールなら操作に迷いにくいでしょう。
ステップ5:テスト配信とフィードバック
完成した教材を少人数に試してもらい、わかりにくい部分や操作上の不具合がないか確認します。フィードバックをもとに修正を重ねてから本格配信に移ると、品質の高い教材になります。
このチェックで意外と指摘が多いのが音量のばらつきです。PCのスピーカーだけでは気づけないノイズもあるため、密閉型のヘッドホンで一度通して聴き直してから配信する、という手順を入れておくと安心です。
最初から完璧を目指さず、まずは最低限の内容で配信してからフィードバックで改善していく「スモールスタート」がうまくいくコツです。
eラーニング作成ツールの選び方
eラーニング作成ツールにはさまざまな種類がありますが、選ぶときに注目したいポイントは次の3つです。
操作のしやすさ
専門的なプログラミング知識がなくても使えるかどうかは重要なポイントです。ドラッグ&ドロップで素材を配置できるツールや、PowerPointから直接変換できるツールなら導入しやすいでしょう。
出力形式の対応範囲
SCORM(スコーム)やxAPIといったeラーニングの国際規格に対応していると、LMS(学習管理システム)との連携がスムーズです。将来的にLMSで受講者の進捗を管理したい場合は、対応しているかどうかを確認しましょう。
コストとサポート体制
月額制・買い切り制・ユーザー数課金制など、料金形態はツールによってさまざまです。無料トライアルを活用して、実際に操作感を試してから決めるのが安心です。

おすすめのeラーニング作成ツール
ここからは、eラーニング教材を自作したい方におすすめの作成ツールを紹介します。それぞれ特徴が異なるので、自社の目的やスキルレベルに合ったものを選んでみてください。
iSpring Suite
iSpring Suiteは、PowerPointにアドインとして組み込むタイプのeラーニング作成ツールです。PowerPointの操作に慣れている方なら、ほぼ同じ感覚でeラーニング教材を作成できます。
450種類以上のスライドテンプレートが用意されており、クイズやインタラクションの追加もドラッグ&ドロップで可能です。SCORM対応のコンテンツを出力でき、主要なLMSとの連携もスムーズです。
Articulate Storyline
Articulate Storylineは、インタラクティブ性の高い教材を作るのに適したツールです。シナリオ分岐やシミュレーションの構築に強みがあり、接客研修やコンプライアンス研修などに活用されています。
操作画面はPowerPointに似た設計で、プログラミングの知識がなくても複雑なインタラクションを作成可能です。
Adobe Captivate
Adobe Captivateは、画面録画機能が充実しているツールで、ソフトウェアの操作手順を教える教材作りに向いています。レスポンシブデザインに対応しているため、PC・タブレット・スマートフォンなど複数デバイスに自動的に最適化されます。
Canva(教材デザイン補助)
直感的なデザインツールとして人気のCanvaは、eラーニング専用ツールではありませんが、スライド教材の見栄えを整えるのに重宝します。テンプレートが豊富で、デザインが苦手な方でもプロっぽい資料を作れるのが魅力です。無料プランでも基本機能は使えます。
Loom(動画教材作成)
Loomは、画面録画とウェブカメラを同時に撮影できるツールです。操作手順の説明動画を手軽に作れるため、動画型のeラーニング教材を内製したい場合に使いやすいです。録画した動画は自動でクラウドに保存され、URLをシェアするだけで共有できます。
ワイプに講師の顔を出すタイプの教材を作るなら、内蔵カメラの画質がそのまま教材の印象になります。外付けのWebカメラに替えるだけで見え方が変わるため、動画型を内製するタイミングで検討する方も多いようです。
ツールの料金やプラン内容は時期によって変わることがあります。導入を検討する際は、各ツールの公式サイトで最新情報を確認してください。
eラーニング作成でよくある失敗と対策
初めてeラーニングを作る際にありがちな失敗パターンと、その対策を紹介します。
情報を詰め込みすぎる
あれもこれもと盛り込むと、受講者が消化しきれない教材になってしまいます。1つのコンテンツで伝えるテーマは1つに絞り、「広く浅く」ではなく「狭く深く」を意識しましょう。
一方的な説明だけで終わる
スライドを見せるだけ、動画を流すだけでは受講者の集中力が持ちません。適度にクイズや確認問題を挟むことで、アウトプットの機会を作り理解度を高められます。
スマートフォン対応を忘れる
移動中や休憩時間にスマートフォンで受講する方も増えています。作成段階でモバイル端末での表示確認を行い、文字サイズやボタンの大きさが適切かどうかをチェックしましょう。

eラーニングとLMSの違い
eラーニング作成ツールとよく混同されるのがLMS(学習管理システム)です。簡単に整理すると、次のような関係になっています。
eラーニング作成ツールは教材を「作る」ためのソフトで、LMSは教材を「配信・管理する」ためのシステムです。多くの場合、作成ツールで教材を作り、LMSにアップロードして受講者に配信するという流れになります。
ただし、最近はLMSの中に教材作成機能が内蔵されているサービスも増えており、1つのツールで作成から配信・管理まで完結できるケースもあります。自社のニーズに合わせて、作成ツールとLMSを分けるか、一体型にするかを検討してみてください。
Q&A|eラーニングの作り方でよくある質問
Q. eラーニング教材を作るのに専門知識は必要?
いいえ、PowerPointが操作できるレベルであれば始められます。iSpring SuiteのようにPowerPointベースで動くツールを使えば、学習コストを抑えながら本格的な教材を作れます。
Q. 教材1本あたりの制作時間はどれくらい?
スライド型の簡単な教材であれば、素材の準備も含めて数時間〜1日程度で作れることが多いです。動画撮影やインタラクションを含む場合は数日〜1週間が目安になります。
Q. 無料で使えるeラーニング作成ツールはある?
Canvaの無料プランやLoomの基本プランなど、費用をかけずに始められるツールはあります。本格的なSCORM対応教材が必要な場合は有料ツールの方が適していますが、まず試してみるなら無料ツールからのスタートも有効です。
Q. 外注と自作、どちらがいい?
コストを抑えたい場合や頻繁に内容を更新する必要がある場合は自作がおすすめです。クオリティの高い映像教材や大規模なコンテンツが必要な場合は、専門の制作会社に外注するのも選択肢になります。

まとめ
eラーニングの作り方は、学習目標の設定・構成設計・素材準備・ツールでの制作・テスト配信という5つのステップで進めるのが基本です。
eラーニング作成ツールは、PowerPointベースのiSpring Suiteや、インタラクティブ性に優れたArticulate Storyline、画面録画に強いAdobe Captivateなど、目的に合わせて選べます。まずは無料トライアルやフリーツールで小さく始めてみて、社内の反応を見ながら本格導入を進めていくのがスムーズです。


