サイバー攻撃のニュースを目にする機会が増え、「セキュリティの知識を身につけたい」と考える方が増えています。DX推進にともなってセキュリティ人材の需要は急速に高まっており、サイバーセキュリティは今もっとも注目されているリスキリング分野のひとつです。
この記事では、サイバーセキュリティを学べるおすすめのオンライン講座を、初心者向けからエンジニア向けまでレベル別に紹介します。資格取得に役立つ講座や、無料で学べるサービスも取り上げているので、セキュリティ学習を始めたい方はぜひ参考にしてください。

なぜ今サイバーセキュリティを学ぶべきなのか
サイバーセキュリティを学ぶ重要性は年々高まっています。その理由を確認しておきましょう。
サイバー攻撃の増加と高度化
ランサムウェアやフィッシング詐欺など、サイバー攻撃は年々増加し、手口も巧妙になっています。企業だけでなく個人もターゲットになる時代であり、基本的なセキュリティ知識は社会人として持っておきたいスキルです。
セキュリティ人材の深刻な不足
情報セキュリティ人材は国内で大幅に不足しているとされています。そのため、セキュリティスキルを持つ人材の市場価値は高く、キャリアアップや転職にも有利に働きます。
DX推進にセキュリティは不可欠
DXを推進する企業にとって、セキュリティ対策はデジタル化と表裏一体の課題です。クラウド活用やリモートワークの普及にともない、ゼロトラストセキュリティなど新しい概念の理解も求められています。
この分野は用語が多く、動画講座だけだと知らない単語が出るたびに手が止まりやすいです。全体像を図で整理した入門書を1冊そばに置いておくと、講義の内容を並べて理解しやすくなります。

初心者向けサイバーセキュリティ講座
ITの基礎知識が少ない方でも始められる入門レベルの講座を紹介します。
IPA(情報処理推進機構)の無料教材
IPAのセキュリティ情報ポータルでは、情報セキュリティの基礎を学べる無料の教材やガイドラインが多数公開されています。「情報セキュリティ10大脅威」の解説資料は、最新の脅威動向を把握するのに役立ちます。
Udemy セキュリティ入門講座
Udemyにはサイバーセキュリティの入門講座が豊富に揃っています。ネットワークセキュリティの基礎から、ハッキング手法とその対策まで、動画形式でわかりやすく学べます。セール時にはリーズナブルな価格で購入可能です。
Coursera「Google サイバーセキュリティ プロフェッショナル認定」
Googleが提供するこのプログラムは、セキュリティの基礎からインシデント対応まで体系的に学べます。初心者を対象としたカリキュラム設計で、IT経験がなくても取り組める内容になっています。修了証はLinkedInなどに掲載でき、キャリアアピールにも使えます。
中級者・エンジニア向けサイバーセキュリティ講座
基礎を理解した上で、実践的なセキュリティスキルを身につけたい方向けの講座を紹介します。
セキュ塾(ヒートウェイヴ)
セキュ塾は、実践的なサイバーセキュリティ技術を学べるスクールです。昼間コースと夜間コースがあり、社会人でも働きながら受講しやすい環境が整っています。授業の録画もオンラインで視聴できるため、通学が難しい場合も対応可能です。ハンズオン形式でインシデント対応やペネトレーションテストなどの実技を学べます。
GSX セキュリティ教育サービス
GSXはサイバーセキュリティに特化した教育・コンサルティング企業で、幅広いセキュリティ研修プログラムを提供しています。インシデント対応研修やセキュリティ監査研修など、実務に直結する内容が充実しており、法人の研修にも適しています。
SANS Institute(海外)
SANSは世界的に認知されているサイバーセキュリティ教育機関です。GIAC認定資格に対応した高度な講座を提供しており、セキュリティエンジニアとして本格的にキャリアを築きたい方に適しています。英語での受講が基本ですが、一部日本語対応の講座もあります。
海外の高度な講座に進む前に、国際資格の入門にあたるCompTIA Security+の範囲を押さえておくと、専門用語のハードルが下がります。日本語の対策書も出ているので、独学の足がかりとして使う方もいます。
九州大学SECKUN(社会人向け)
九州大学が主導する社会人向けサイバーセキュリティ人材育成講座「SECKUN」は、技術的側面と非技術的側面の両方を含む講義・演習を提供しています。大学の研究レベルの知見を活かした内容が特徴です。

セキュリティ関連の資格と対応講座
サイバーセキュリティのスキルを客観的に証明するには、資格の取得も効果的です。主要な資格と対応する学習方法を紹介します。
- 情報セキュリティマネジメント試験(IPA):セキュリティの基礎を証明する国家試験。非エンジニアにもおすすめ
- 情報処理安全確保支援士(IPA):セキュリティの高度な知識を証明する国家資格。登録セキスペとも呼ばれる
- CompTIA Security+:国際的に認知されたセキュリティ入門資格。ITエンジニアの基礎力証明に有効
- CISSP:情報セキュリティの国際的な上位資格。マネジメント層向け
資格取得を目指す場合は、対応する講座を選ぶことで効率的に学習を進められます。特に情報セキュリティマネジメント試験は、非エンジニアでも取得しやすいため、セキュリティ学習の第一歩としておすすめです。
試験対策は出題範囲がはっきりしている分、参考書と過去問を回す学習が効きやすいです。講座と並行して手元に1冊置いておくと、動画で学んだ内容をそのまま問題形式で確認できます。
サイバーセキュリティ学習で活用できる補助金
サイバーセキュリティの研修は、DXの重点領域として補助金の対象になりやすいです。
- 人材開発支援助成金(法人向け):中小企業は研修費用の最大75%が助成される。セキュリティ研修もDX関連として対象になり得る
- 教育訓練給付制度(個人向け):情報処理安全確保支援士の対策講座など、一部のセキュリティ関連講座が対象
- 自治体の補助制度:東京都のDXリスキリング支援事業など、セキュリティ研修を対象に含む自治体の助成もある
サイバーセキュリティ学習のロードマップ
効率よくセキュリティスキルを身につけるための学習ステップを紹介します。
ステップ1:ITの基礎を固める
ネットワーク・OS・Webの仕組みなど、ITの基本的な知識はセキュリティ学習の土台になります。ITパスポートや基本情報技術者試験の学習を通じて基礎を固めましょう。
この段階は「知らない用語をなくす」ことが目的なので、体系立ったテキストを1冊通読するのが早いです。IT用語の土台ができていると、セキュリティ講座の内容がそのまま頭に入ってきます。
ステップ2:セキュリティの基礎を学ぶ
IPAの無料教材やUdemyの入門講座で、サイバー攻撃の種類、防御の基本概念、情報セキュリティの3要素(機密性・完全性・可用性)を理解しましょう。
ステップ3:実践的なスキルを身につける
ハンズオン形式の講座やCTF(Capture The Flag)と呼ばれるセキュリティ演習で、実践的な技術力を磨きましょう。セキュ塾やGSXの講座が候補になります。
ステップ4:資格を取得してスキルを証明する
情報セキュリティマネジメント試験やCompTIA Security+などの資格を取得して、客観的にスキルを証明しましょう。
セキュリティの学習で得た技術は、正当な目的にのみ使用してください。不正アクセスや他者のシステムへの攻撃は法律で禁止されています(不正アクセス禁止法)。

サイバーセキュリティの学習リソースまとめ
無料で使える学習サービス
- IPA セキュリティセンター:情報セキュリティに関する最新の脅威情報や対策ガイドラインを無料で公開
- NISC(内閣サイバーセキュリティセンター):サイバーセキュリティに関する基礎知識の啓発コンテンツを提供
- Cybrary:英語のオンラインセキュリティ学習プラットフォーム。無料コースが充実
実践力を鍛えるCTF(Capture The Flag)
CTFはセキュリティの実践力を競う演習形式の学習方法です。問題を解きながらハッキング技術や防御技術を学べます。TryHackMeやHack The Boxなどのオンラインプラットフォームで、初心者でも気軽に挑戦できる環境が整っています。実際にツールを使って脆弱性を発見する体験は、座学だけでは得られない貴重な学びになります。
ただ、いきなり演習環境に飛び込むと、何を調べればいいのかが分からず手が止まりやすいです。攻撃と防御の流れを一冊で追える解説書があると、演習の意味を理解しながら進められます。もちろん、学んだ技術は自分の検証環境の範囲で使うことが前提です。
セキュリティ業界のキャリアパス
サイバーセキュリティのスキルを身につけた先には、様々なキャリアの選択肢があります。
セキュリティエンジニア
企業のセキュリティ対策の設計・構築・運用を担当する職種です。ファイアウォールやIDS/IPSの設定、脆弱性診断などの技術的な業務を行います。
SOCアナリスト
SOC(Security Operations Center)でセキュリティ監視を行う職種です。ログの分析やインシデントの検知・対応を担当します。24時間体制の組織が多く、シフト勤務になる場合もあります。
セキュリティコンサルタント
企業のセキュリティ体制を評価し、改善策を提案する職種です。技術知識に加えて、経営層への提案力やコミュニケーション能力も求められます。
CISO(最高情報セキュリティ責任者)
組織全体のセキュリティ戦略を統括する経営層ポジションです。経験豊富なセキュリティ人材が目指すキャリアの到達点のひとつです。
セキュリティ学習に関する追加の質問
Q. セキュリティの学習にはどの程度のIT知識が前提になる?
入門レベルの講座であれば、ネットワークやOSの基本的な知識があれば取り組めます。まったくIT知識がない場合は、先にITパスポートレベルの基礎を学んでから始めると理解がスムーズです。
Q. セキュリティ分野は英語力が必要?
日本語の学習リソースだけでもセキュリティの基礎は十分に学べます。ただし、最新の脅威情報や高度な技術文書は英語で公開されることが多いため、英語が読めると学習の幅が広がります。
まとめ
サイバーセキュリティを学べる講座は、IPAの無料教材やUdemyの入門講座から、セキュ塾やSANSの実践的な高度講座まで幅広く用意されています。初心者はまずIPAの教材やCourseraのGoogleプログラムで基礎を固め、実践力をつけたい方はハンズオン形式の講座に進むのがおすすめです。
セキュリティ人材の需要は高く、スキルを身につければキャリアの選択肢が大きく広がります。補助金が使える講座もあるので、興味がある方はまず無料の教材から気軽に始めてみましょう。


